高輪ゲートウェイ駅と泉岳寺駅改良 ほか
2021年7月17日更新
2020年3月14日に暫定開業した高輪ゲートウェイ駅とその周辺、
2024年まで行なわれる近隣の泉岳寺駅改良
そして田町を通過する予定のJR羽田空港アクセス線についてまとめています。
もくじ
1.高輪ゲートウェイ駅
1.1 高輪ゲートウェイ駅の概要
JR東日本は、2020年3月14日に、山手線・京浜東北線の田町―品川間に高輪ゲートウェイ駅を暫定開業しました。
世界的な建築家 隈研吾さん(新国立競技場などをデザイン)が設計しました。
下の写真は、開業日に撮影したものです。大にぎわいです。
切符売り場は最大210分待ちだったそうです。左の写真は180分待ちの時のものです。
日本の魅力を発信していくために、折り紙をモチーフとした大屋根などを備えた「和」を感じられる駅です。
2017年2月に、JR東日本とURにより高輪ゲートウェイ駅の起工式が行なわれました。
JR東日本としては初めて駅名を公募しました。発表は2018年12月4日で、応募数の多い順ではなく応募された案の中から選考して決めた、とのことです。
また、品川車両基地の見直しによって創出される約13haの大規模用地で、駅周辺の街づくりを進めます。
JR東日本が、駅だけでなく「街づくり」まで行なうのは初めての経験とのことで、これからの展開が注目されるところです。
総事業費はおよそ5,000億円。新しい駅のほか、オフィスや商業施設、住宅などが入る合わせて6棟の超高層ビル、それに広場などを整備する計画です。
街開きは2024年を想定しています。
山手線大規模運休続く 「高輪ゲートウェイ」駅 が初公開(NHK、2019/11/16)
ちなみに山手線に駅が新設されるのはとても久しぶりです。この高輪ゲートウェイ駅の前は1971年にできた西日暮里駅。その前は何と更にさかのぼることちょうど40年、隣駅の日暮里駅(1931年)でした。
これまで山手線の駅間で一番長いのが田町-品川間(2.2Km)でしたので、高輪ゲートウェイ駅設置にはちょうどよい場所とも言えます。
開業日については2020年3月14日のダイヤ改正と同日となりました。
山手線と京浜東北線(快速列車含む)のすべての列車が停車します。
現在分かっている情報を時系列でまとめると、次のようになります(詳細は後述)。
・2013年11月23~24日:品川駅改良工事(東海道線などが最大34時間運休)
・2013年度:高輪ゲートウェイ駅を含む周辺の再開発の着工
・2014年3月14日:JR東日本の上野東京ライン(東北縦貫線)開通
(東海道・東北・高崎・常磐線の東京-上野間直通運転開始、
車両基地機能移転による田町車両センターの大幅縮小と土地のねん出)
・2016年11月19~20日:東海道線の線路切り換え工事
(約20時間にわたり東海道線の一部区間で運休や変更)
・2017年2月10日 JR東日本とURにより高輪ゲートウェイ駅起工式
・2018年6月16~17日 第1回(京浜東北線南行き)線路切替工事(京浜東北線と東海道線の運休を伴う。品川駅の5番線ホームを京浜東北線に供用開始)
・2018年6月30日:新駅の駅名募集締切
・2018年12月4日:駅名発表「高輪ゲートウェイ駅」
・2019年11月16日:第2回(山手線と京浜東北線北行)線路切替工事(山手線大崎-田町-上野間が16時頃まで運休、京浜東北線品川-田町間が終日運休)
・2020年3月14日:高輪ゲートウェイ駅の暫定開業
・2020年7月14日(延期された日付)から9月6日:Takanawa Gateway Fest開催
・2021年7月23日から:東京オリンピック・パラリンピック開催。駅周辺で行なわれる予定だった関連イベント(ライブビューイング等)は中止
・2024年:高輪ゲートウェイ駅周辺の本格的な街開き、駅の南改札と東側連絡通路(歩道橋)完成予定、
泉岳寺駅拡張工事終了予定
・2027年:リニア中央新幹線開業、品川駅地下に東京側のターミナル駅開業(リニア自体の開業は遅れる可能性あり)
高輪ゲートウェイ駅周辺の売買物件(町域が広いのでご注意ください)
1.2 高輪ゲートウェイ駅の場所と地図
高輪ゲートウェイ駅の位置は、田町駅から約1.3Km、品川駅から約0.9Kmです。当初案よりは少し南に下ったようです。品川-田町間で山手線、京浜東北線をぐっと海寄りに移設し、駅が作られました。
高輪ゲートウェイ駅と、約300m離れた都営地下鉄浅草線・京浜急行の泉岳寺駅とは、徒歩移動となります。(距離はGoogleMap上の、高輪ゲートウエイ改札前から泉岳寺駅A1入り口で計測しています。どちらの駅もホームまでの時間がやや必要になることもあり、単なる乗り換えでは高輪ゲートウェイ駅⇔泉岳寺駅はあまりお勧めしません。JR線と地下鉄浅草線は田町駅⇔三田駅、JR線と京浜急行線は品川駅のほうが乗り換えに便利です。)
開業数日後にやっと、GoogleMapsに駅舎とアプローチ道路が記載されました。
(ただし、当初は経路検索が不十分で、南側の高輪2丁目交差点を通るルートしか表示されませんでした。)
地図を縮小していただければ、周辺の街や駅との位置関係が分かりやすくなると思います。
芝浦・港南側からの徒歩・自転車のアプローチは、地図の上のほうに載っていて鉄道とクロスしている(実際は道路が下の立体交差)、 「高輪橋架道橋下区道」(高さ1.5mの低すぎるトンネル)を使って国道15号(第1京浜)に一旦出てからしか、今はルートがありません。
かなりの遠回りです。
車は2020年4月限りで工事のため通行止めとなりました。再度通行可になるのは2032年とかなり先です。
高輪橋架道橋下区道を通る歩行者ルートについては、港区が作った地図があります。
芝浦港南地区から高輪ゲートウェイ駅への歩行者ルート
港南への歩道橋「新駅東側連絡通路」(歩行者専用)は、2024年完成予定とまだまだ先です。 図の赤丸部分です。
(港区はJR東日本に、もう少し早く作るように催促はしているそうです。
ただ、この歩道ができても、芝浦方面からの場合ですと所要時間はわずかしか短縮できないようです。完成後にまたレポートします。
品川シーズンテラス方面からのアプローチはかなり良くなりそうですね。)
1.3 高輪ゲートウェイ駅のホームの構成と駅の工夫
高輪ゲートウェイ駅2~3階の計画図です。プラットホームは地上階にあり、山手線と京浜東北線は、それぞれ同じ島式ホームに発着します。
方向別ホームではなく、路線別のホームです。
したがって、山手線と京浜東北線は相互に同じホームでは乗換えができない形式です。
現在の田町駅のような形態(同じ方向の乗り換えが便利)ではなく、品川駅のような関係です。
改札(出口)は現在1つだけです。北改札ができています。将来は南北2箇所に設けられますが、南改札は2024年度以降の開業エリアに含まれます。
改札を出ると街の歩行者デッキに接続される予定ですが、2020年の暫定開業時には街の歩行者デッキはまだありません。
3Fデッキ(改札外)にはスターバックスコーヒーができています。
ブース型シェアオフィスの「STATION BOOTH」もあります。
(図の「ラチ」は改札(ラッチ)のことです。ラチ内は改札内、ラチ外は改札外です。)
ホーム、コンコース、街は、1つの大屋根におおわれた約1000平米の大きな吹き抜けになっています。
駅の乗降人数は、
開業時は1日平均4.6万人、
街の完成時には26万人(恵比寿、五反田駅クラス)
を想定しているとのことです。
JR東日本は、高輪ゲートウェイ駅を新技術の実証実験の場ととらえており、新しいサービスとして、
□QRコードによる改札機利用(2020/5/11から6/30にテスト)
(この駅だけQRを導入しても、他の駅でQRに対応していないとあまり意味がないという意見はあるようです。)
□ロボットの活用(AIを活用した案内ロボット、警備・清掃ロボット、広告ロボット、車椅子タイプの移動支援ロボットなど)
□無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」(JR東日本が出資)の設置(無人コンビニ1号店)
□各種のAIサイネージ
などが導入されます。
駅舎のロゴは、和を感じさせる明朝体とのことです。
なお、みどりの窓口(きっぷの有人販売窓口)はありません。
近距離きっぷの券売機の他、指定席券売機は3台あります。
1.4 高輪ゲートウェイ駅とイベント
1.4.1 高輪ゲートウェイ駅と「Takanawa Gateway Fest」(2020年9月6日に終了)
駅正面付近ではイベントが開催されました。
〇JR東日本は、高輪ゲートウェイ駅開業に合わせて駅前に特設会場を設置し、「Takanawa Gateway Fest(高輪ゲートウェイフェスト)」を開催します。
〇約半年間の期間限定イベントで、あたらしい街の賑わいをイメージし、期待感をもっていただけるような未来を疑似体験できるパビリオンをはじめ、最新映像技術を用いたデジタルアートミュージアム、日本初上陸の屋外インスタレーション、日本の魅力を新しいスタイルでお届けするフードショップなど、お客さまに楽しんでいただける空間をつくります。
具体的な開催内容は、未来を先取りした技術の活用による駅や街の可能性を追求した展示空間、J-WAVEとの共同企画による食・音楽・アートなどをテーマにした施設。そして日本の魅力(文化、伝統、技術など)にあふれた食・モノを提供する店舗に参加・体験を中心としたスポーツイベントとなっている。
写真を見る限りでは、当初はなかなか広い場所がフェスティバルのために利用されるようでしたが、会期の短縮などを受けて一部の建物は省略されたようです。
(開業日時点では、イベントのホールの多くの外側はすでに完成しているように見えました。)
イベントは3月19日から予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催が延期となりました。
また、一部のイベントは中止となりました。
7月14日から、一部のイベントがやっと開催されました。事前予約(公式ページ)が必要でした。(JR東日本のPDF)
7月14日スタートのエンタメレストランJ-WAVE NIHONMONO LOUNGEでは、飲食と、ライブ演奏(数日に1回)が楽しめました。
また、J-WAVEは7月14日からNIHONMONO LOUNGE(twitter)より生放送をしました。(「YEBISU BEER BEGINNINGS~LIVE FROM TAKANAWA GATEWAY」、平日月曜から金曜のお昼12時半から13時)。観客有りのステージライブ(音楽演奏)は何日かに1度行なわれていました。
開業日に行ってみたフェストとNIHONONO LOUNGEの様子はこちら(当店のblog)→#TakanawaGatewayFest(#高輪ゲートウェイフェスト)の開幕日に #nihonmonolounge に行ってみました
フェスティバルは、先述の通り2020年9月6日限りで終了です。
1.4.2 高輪ゲートウェイ駅と東京オリンピック・パラリンピック
2020年7月24日から東京で、オリンピック・パラリンピックが開催される予定でした。
オリンピックのオフィシャルパートナーとなったJR東日本は、高輪ゲートウェイ駅周辺で「東京大会の開催気運を高める取り組み」を実施する予定となっていました。駅前用地の一部が、オリンピック・パラリンピックの「ライブサイト」の会場となる予定でした。
しかしながら、東京オリンピック・パラリンピックは2021年7月23日(開会式)からに延期され、パブリックビューイングは、新型コロナ感染拡大防止の観点から中止となりました。
駅周辺の開発がオリンピック・パラリンピック間に合わなかったこともあり、再開発地区を含めた田町周辺に競技施設や選手村などが作られる計画はありません。
1.5 高輪ゲートウェイ駅周辺の観光地と見どころ・グルメ
*時節柄、営業日時等は個別にご確認ください。
【高輪ゲートウェイ駅の構内】改札を出る前(エキナカ)の見どころを挙げてみます
巨大な吹き抜け
まずは巨大な吹き抜け空間を味わってみてください。
日本の駅としては、吹き抜けは珍しいそうです。
天井は折り紙を参考にした構造で、外の明るさをほんのり感じることができます。
ホームや通路の床が木目調になっているので、空間自体が優しい印象です。
改札外の3階デッキ(利用無料)まで足を運んだほうが、見渡しはよいです。
屋根がでこぼこしていて雨が溜まりやすいのか、雨漏りしている箇所を見かけることがあります(笑)。
鉄道テラスビジョン
高さ約5m×幅14mの大型スクリーンです。
夕方や夜は画面が目立って特にきれいです。
京浜東北線ホームと2Fデッキ東側から見える「JR東京総合車両センター田町センター」の風景
必ずしも全員が楽しいかどうかは分かりませんが(笑)、改札を出る前にたくさんの電車が並んでいる様子を見ておかれるといいと思います。お子様は喜ばれるかも知れません。
大人気の「サンライズ出雲・瀬戸」は離れた場所にいることが多いようです。
改札外の3階デッキ(利用無料)まで足を運んだほうが、見渡しはよいです。
無人コンビニ「TOUCH TO GO」(JR東日本初の無人コンビニ)
このコンビニを逃すと、現時点では徒歩4分圏内に他のコンビニはありませんのでご注意ください。(改札外、徒歩5分でデイリーヤマザキ高輪本店)
改札内の店舗はここだけとなります。
ICカードだけの決済です。
商品を手にとってレジに進むだけで、商品リストが画面に表示され、決済ができるようになります。
(商品を決済前にカバン等に入れても正確に計算されるそうですが、怖いのでまだやっていません(苦笑)。)
天井に仕込まれた約50台のカメラで人の動きを検知し、買おうとしている商品を把握しているそうです。
駅開業以降の数日間は、人の多さを心配してか営業していませんでした。
(裏に人が常駐しているという情報があります。)
あまり見学だけのお客様が増えると良くないとは思いますが、店内をぐるっと回って、何も買わずにレジのゲートを通過することも一応可能なようです。
案内AI
改札口近くにあります。
音声応答は、一人でやるのはちょっと恥ずかしいです(笑)。
タッチパネルでも操作できます。
自動ロボットたち
運がいいと、警備や清掃、周辺設備の案内用AIロボットに出会えるかも知れません。 混雑時は待機状態になるそうです。
写真は作動中の警備ロボットで、少し離れた場所からスタッフが見守っていました。
トイレの鏡のデジタルサイネージ
しばらく眺めてみましたが、この時は一般的な広告は表示されず、高輪ゲートウェイ関連の宣伝だけでした。
トイレの中もおしゃれなデザインです。
【高輪ゲートウェイ駅周辺】フェスティバル以外はおおむね、従来の泉岳寺駅周辺の観光地と共通です(笑)。
Takanawa Gateway Fest(高輪ゲートウェイフェスト)終了
7月14日から9月6日までの開催で、入場予約制でした。(一部イベントは中止となりました。)
北エリアにはフード&クラフトマーケットがありました。
エンタメレストランJ-WAVE NIHONMONO LOUNGEでは飲食と、ライブ演奏(数日に1度)が楽しめました。
また、J-WAVEは7月14日からNIHONMONO LOUNGE(twitter)より生放送をしました。(「YEBISU BEER BEGINNINGS~LIVE FROM TAKANAWA GATEWAY」、平日月曜から金曜のお昼12時半から13時)。観客有りのステージライブ(音楽演奏)は何日かに1度行なわれていました。
開業日に行ってみたフェストとNIHONONO LOUNGEの様子はこちら(当店のblog)→#TakanawaGatewayFest(#高輪ゲートウェイフェスト)の開幕日に #nihonmonolounge に行ってみました
フェスティバルは、先述の通り2020年9月6日限りで終了しました。
車町稲荷神社(徒歩4分)
地元のお稲荷さんです。
建物の2階に社殿があります。
都心では建物の上の社殿はあまり珍しくないかも知れませんが、郊外や地方ではなかなか見かけない光景です。
泉岳寺(徒歩8分)
ご存知、赤穂事件(1701年)と赤穂浪士討ち入りに関連するお寺。
江戸城・松之大廊下で、吉良上野介義央に斬りつけて切腹となった播磨赤穂藩藩主・浅野内匠頭長矩の墓があります。
また、多くの義士がここに眠ります。
義士祭は毎年12月14日です。
赤穂浪士ゆかりの品を所蔵している「赤穂義士記念館」があります。
高輪大木戸跡(徒歩7分)
国の史跡です。
1710年に設けられました。それまでは現在の札の辻にあり、芝口門と呼ばれました。
ここから北は江戸で、南側は江戸の外ということになります。
夜は暮六つ(だいたい22時頃)には閉じられていました。
江戸がここで終わっていたことや、夜は閉門されていたというのは、今からは信じられないですね。
幕末に全国を歩いて測量した伊能忠敬は、ここを地図の起点としたそうです。
現在は門はなく土台の石垣だけが残っていて、ちょっとがっかりされる方がいるかも知れません。
背の低いガード「高輪橋架道橋」(徒歩9分)
B級観光名所です。
残念ながら自動車通行止めになったため、高さ制限わずか1.5mのガード下を車が通過する風景は見られなくなってしまいましたが、歩行者・自転車(押し歩き)はOKです。大正時代からあるガード下の低さを経験してみてください。
ガードの天井についている、自動車がこすったような跡は、めったにないので見ておいたほうがよいと思います。
(自動車通行禁止になったので、歩行者が元の車道を歩きながら見学することができるようになりました。ただし、工事の進捗によっては通れる場所が変わります。)
品川シーズンテラス(現在は徒歩17分)
ショップやレストランが集まる複合施設。
2024年に歩道橋ができるまでは、高輪ゲートウェイ駅からはかなり遠回りです。
(今は品川駅からのほうが近いです(苦笑)。)
ザ・プリンスさくらタワー東京(徒歩15分)
手入れのよい日本庭園が素敵です。
グランドプリンスホテル新高輪全体として、
季節のイベントなどがよく行われます。
川バスターミナル(徒歩6分)
観光地ではありませんが、乗り換え案内です。
高速バスのターミナルです。
品川駅高輪口からも徒歩6分と案内されているので、ちょうど真ん中あたりになります。
【高輪ゲートウェイ・グルメ】時節柄、営業時間と営業内容は事前にご確認ください。
レッサムフィリリ(徒歩8分、ネパール・チベット料理、ランチと夜の営業)(Retty)
品川薬膳レストラン10ZEN(徒歩9分、ランチと夜の営業、テイクアウト有)(公式ページ)
レストラン ラ・ベランダ(徒歩5分、APAホテル品川泉岳寺駅前1F、朝食とランチはバイキング実施、夜の営業有)(公式ページ)
(以下、準備中)
1.6 高輪ゲートウェイ駅周辺の開発の概要
駅を含む開発用地の面積は13.9ヘクタールで、六本木ヒルズエリア(約9.3ヘクタール)、東京ミッドタウン(約6.8ヘクタール)を優に超えています。巨大な街がいきなり登場することになります。
開発は、JR東日本と都市再生機構(UR)が協力して進めます。
JR東日本が、駅だけでなく「街づくり」まで行なうのは初めての経験とのことで、これからの展開が注目されるところです。
この地区は国際便が拡大している羽田空港にも近いことから、2011年12月には国の「国際戦略総合特区」に指定されました。国は特区で働く外国人の入国審査などに関する規制を緩和、都は特区内の企業の法人事業税の減免などで、外資系企業の誘致を図っていくとのことです。
東京都のホームページには「東京サウスゲート」を形成すると書かれています。「品川国際都心」と言えるようなエリアを構想しています。
高輪ゲートウェイ駅と新しい街ができることで、周辺効果によってここ田町もよりにぎやかになることでしょう。
1.7 高輪ゲートウェイ駅周辺の開発エリアの現状と高輪築堤
高輪ゲートウェイ駅とその周辺の広い土地は、もともとは何十本もレールのあった電車区だったところが空き地に変わったものです。
(ちなみに、地図内で横須賀線が大胆にカーブしていますが、これは地下にあります。)
高輪ゲートウェイ駅は開業時点では、西側から見ると広い空き地の中にぽつんとある感じです。
「高輪ゲートウェイ駅前に何もない説」はある程度当たっています(笑)。駅前にはコンビニもありません。(駅近くのコンビニは、改札内の無人コンビニTOUCH TO GOだけです。改札外で最も近いのは、徒歩5分のデイリーヤマザキ高輪本店です。)
駅前の広いデッキを出ると、あちこちで工事が開始されているのが見えます。
(車通行止めになりましたので、高輪橋架道橋のこの光景はもう見られません。→)
中央上に一方通行の細い道路が線路と直交しているように見えますが、これは高さ制限1.5mという低すぎる鉄道ガード「高輪橋架道橋下区道」です(田町トリビア(当店のホームページ))。
このガード下の道は作り直す工事に入っており(記事)、2020年4月12日から2032年3月末(予定)と長期に渡って自動車通行止めになっています。
なお、歩行者と自転車(押し歩き)の通行は引き続き可能とのことです。芝浦・港南方面から高輪ゲートウェイ駅への歩行者・自転車の経路は、(一旦国道15号に出るため)多少遠回りながら確保されます。
高輪橋架道橋とその下の区道には、別名がたくさんあります。
「高輪ガード」「泉岳寺ガード」、 「行灯殺しのガード」・「ちょうちん殺しのガード」(どちらもタクシーの社名灯のこと)、 「首曲りトンネル」、「おばけトンネル」(おばけが連想される暗さだから)。)
工事についてはこちらが詳しいです→(第二東西連絡道路整備工事説明会資料(PDF)、港区他)。
駅舎については第2期の工事が計画されており、街開き時には北改札と同じ泉岳寺側に南改札が増える予定です。(港南側、芝浦側に改札ができるわけではありません。)
2014年6月撮影。旧田町車両センターを北東方向から見ています。写真の左奥が品川駅で、右手前が田町駅です。高輪ゲートウェイ駅は写真中心から少し左側に作られています。
さて、工事現場では「高輪築堤」が出土しました。今後JR東日本が公開・保存を検討するとのことです。(品川経済新聞の記事)
「高輪築堤」は約150年前、国内初の鉄道開業に向けて線路を敷設するため海上に構築された構造物で、かつて同築堤の上を列車が走っていました。
港区に残る浮世絵にも、海の中に作られた築堤の上を蒸気機関車牽引の列車が走っている様子が描かれていました。
建設後に築堤の周辺が埋め立てられたため最近までその様子が分かりませんでしたが、再開発工事に伴うレールなどの撤去に際して、2020年7月に構造物の一部が見つかったといいます。
また、2021年1月8日には報道公開されました(時事.comの記事)。
1月10~12日には現地見学会で一般公開されました(要事前予約)。現地見学会と並行して、動画共有サイトYouTubeの「JR東日本公式チャンネル」で、1月10日から1月12日まで「高輪築堤」の映像が公開されました(Response.jpの記事)。
1.8 高輪ゲートウェイ駅周辺の開発計画
2018年9月に公表された開発計画によれば、
街区は田町方向から、1街区、2街区、3街区、4街区と名付けられ、
駅前の4街区には北棟と南棟の2棟が建つとのことです。
そこから更に品川駅方向の、区域5、区域6は将来開発となっています。
それらの間をつらぬく、環状4号線という道路の建設とのタイミングが調整されるのかも知れません。
環状4号線は高輪台方向から高架で下りてくる大工事になりますし、白金台・高輪台周辺では多くの地権者との調整が発生するため、着工までに時間がかかる可能性が高いと思われます。
今度は逆側(海側)から見た図になります。
1街区には45階建の住宅(上階は国際水準の居住施設)およびインターナショナルスクールなど、
2街区には6階建の文化創造施設、
3街区には31階建のオフィスビル+生活支援施設(医療施設など)、
4街区には30階建のオフィスビル+レストラン、国際水準のホテル、コンベンション施設など
が計画されています。
駅前広場は2層構造となり、
下層はバス・タクシーの停車場、
上層は歩行者用
で使い分けられます。
続いて、道路の計画です。
まず、2020年暫定開業時は、「コの字型」の道路で高輪ゲートウェイ駅にアプローチできます。車、自転車、歩行が可能です。ただし、駐車場、駐輪場はまだ見かけませんでした(フェスティバル用の駐輪場はありました)。
図の中の「特別区道第1193号」の開通部分(以前の計画図では補助線街路第332号線)と、同「1194号」を通ることによって、通り抜けが可能です。車はUターンの必要がありません。
将来はバスが入ると想定されているようですが、2020年3月の開業時点では、駅前ではバス停は見かけませんでした。
タクシー乗り場ははっきりと整備されていないですが、2020年夏時点で何台かの客待ちのタクシーを見かけました。
この図の他に、JR東日本の私道と思われる道路があるのですが、詳しい情報はまだ分かりません。
図の中の環状4号線は高架でJR線と開発街区をまたぎます。2032年度の開通予定です。
都バスの最寄りバス停は現在、高輪北町バス停(都バスのサイト)と、後述の泉岳寺前バス停になると思います。
品97 新宿駅西口行(反対の品川駅方面行は別経路のため通りません)、
反96 五反田駅行、六本木ヒルズ行 が停車します。
下記の地図の、高輪北町の北方向に小さく表示されているのは泉岳寺前バス停で、同じ路線が停車します(五反田駅行きはバス停の場所が離れますのでご注意ください)。
駅前の、2階の駅前広場と階段・エスカレーターは暫定開業時点で整備されましたが、広域の歩行者デッキはこの時点ではまだ存在していません。
また、駅前広場の1階は固定の建物はなく、まだ平地のままです。(その場所で行なわれるイベントについては前に書いたとおりです。)
続いて、2024年の街開きに向けての計画です。
エリアごとの用途と、道路の概要です。北から順に、
居住系エリア
業務系・国際交流計エリア
商業系エリア
が定められます。
また、真ん中のエリアには新 東海道という歩行空間が設けられる予定です。
2015年に発表された開発計画と道路計画です。第1京浜(国道15号)方面から高輪ゲートウェイ駅に向かうには、現在の泉岳寺駅方面、または品川方面の高輪あたりから東(地図では上)に行き、線路に行き当たったところから線路沿いに進むことになりそうです。
開発地を横断(縦断)する道路については、次の図が分かりやすいです。(東京新聞)
1.9 高輪ゲートウェイ駅とリニア中央新幹線品川駅の関係
2027年の開業を目指していたリニア中央新幹線(リニアモーターカー)は、東京側のターミナル駅(終点)が新幹線品川駅地下となります。品川駅と高輪ゲートウェイ駅はお隣ですので、地区の開発にさらなる相乗効果が期待されます。(リニア自体の開業は遅れる可能性あり)
リニア中央新幹線品川駅と、高輪ゲートウェイ駅の間は直接通路で結ばれるとのことです(改札内か改札外かは現在のところ明記がありませんが、異なる駅どうしが改札内で歩けて行けてしまうとJRの料金計算が複雑になりそうですので、改札外の可能性が高いと思われます)。
JR品川駅と、高輪ゲートウェイ駅近くの区画の間も、将来的に通路でつながるとのことです。
1.10 高輪ゲートウェイ駅の駅名の公募
駅名の公募は、JR東日本としては初めての試みでした。応募数の多い順ではなく、応募された案の中から選考して決めた、とのことです。
公募の結果は次の通りでした。
応募総数:64,052件
1位:高輪 8,398件
2位:芝浦 4,265件
3位:芝浜 3,497件
4位:新品川 2,422件
4位:泉岳寺 2,422件
6位:新高輪 1,275件
7位:港南 1,224件
8位:高輪泉岳寺 1,009件
9位:JR泉岳寺 749件
10位:品田 635件
…
130位:高輪ゲートウェイ 36件
選定理由について、JR東日本は次のようにまとめています。
この地域は、古来より街道が通じ江戸の玄関口として賑わいをみせた地であり、明治時代には地域をつなぐ鉄道が開通した由緒あるエリアという歴史的背景を持っています。
新しい街は、世界中から先進的な企業と人材が集う国際交流拠点の形成を目指しており、新駅はこの地域の歴史を受け継ぎ、今後も交流拠点としての機能を担うことになります。
新しい駅が、過去と未来、日本と世界、そして多くの人々をつなぐ結節点として、街全体の発展に寄与するよう選定しました。
確かに、近くには「高輪大木戸(跡)」があり、江戸の重要な門の1つでした。(今は信じられないかと思いますが、警備のために夜はこの門が閉じられていたんですよ。つまり、夜は東海道から江戸には出入りできなかったのでした。門限は夜10時頃だったそうです。それだけ重要視された玄関口だったということですね。
また、江戸時代の精密地図作成で有名な伊能忠敬は、この高輪大木戸を起点にして全国の地図を作ったのでした。)
JR東日本としては、
公募結果ダントツ1位の「高輪」という名称を活かしつつ、
未来志向の「ゲートウェイ」という単語を加えて、
新しい街の印象を創造したい、
といった意図があったのかも知れません。
実は当店の予想は
1位「新品川」
2位「品川ゲートウェイ」
だったので、2位が半分当たっていた感じです。
「品川」という「ブランド地名」は固守するだろうという予測と、
駅の住所は正確には港南なので「高輪」を使うことは無いだろう、
という先入観が、当店が予想を外した大きな理由です(笑)。
ちなみに、2016年10月から順次導入された駅ナンバリングのうち、山手線では「JY26」が、京浜東北線では「JK21」が高輪ゲートウェイ駅に割り当てられました。
更に、高輪ゲートウェイ駅じたいに「TGW」のスリーレターコードが付与されています。
1.11 高輪ゲートウェイ駅と田町始発電車の関係
《品川新駅の魅力を高める「田町始発」電車(itmedia)》という記事が2016年に出ており、田町駅の北側にある折り返し線が、高輪ゲートウェイ駅の山手線外回り初電を早める効果(あわせて、田町、品川駅の初電を早める効果)をもたらすことに触れています。
ところが、2019年に発表された羽田空港アクセス線の東海道線接続区間(田町駅前後)のトンネル工事のために、折り返し線が廃止(早くて2022年?)されることが発表されました(下記で詳しく触れます)。2019年時点では田町始発は外回り線しかありませんが、その始発が廃止されてしまうのか、少し気になるところです。(2020年3月ダイヤ改正、続く2021年3月ダイヤ改正では田町始発が外回りで2本残りました。深夜に2本、内回り品川止まりの電車がここまで足を延ばして折返しをしていましたが、2021年3月ダイヤ改正で品川止まりじたいが廃止されました。)
1.12 高輪ゲートウェイ駅と鉄道の工事
1.12.1 品川駅改良工事(2013/11)
2013年11月23日から24日にかけて、東海道線が約34時間にわたって運休するなどの大きな影響を伴った、品川駅の改良工事が行なわれました。この工事は、東海道線から上野東京ライン(東北縦貫線)への乗り入れを控え、品川駅構内に新設した車両基地周辺の線路を切り替えてホームの変更を行なうものでした。
1.12.2 東海道本線線路切替工事(2016/11)
2016年11月19日から20日に品川駅周辺で東海道本線の線路切り換え工事が行なわれました。およそ20時間にわたり一部区間で列車の運休や変更が生じました。田町近く、札の辻あたりまで新線に切り替わりました。
1.12.3 山手線・京浜東北線の移設工事
続いて、山手線・京浜東北線を東側(海側)に移設する必要がありました。これらが移らないと、全面的な都市開発や駅前広場の整備には着手できません。
(高輪ゲートウェイ駅を出た京浜東北線の北行き(新線)は、山手線の外・内回り線と立体交差した上で田町駅に入る必要性があります。こうしたことから、かなり規模の大きな移設工事になりました。)